2010年07月10日(土):第20回循環型社会研究会

活動報告 ?

大阪の南北を流れる淀川、その一角に広大な鵜殿ヨシ原はあります。
鵜殿のヨシは、河川の水質浄化作用の他に雅楽の「ひちりき」のリードに使われ最良の材料として現在も重宝されています。

第20回のKNS循環型社会研究会では、「ヨシの保全とヨシ紙としての活用について」をテーマに、鵜殿ヨシ原研究所所長小山弘道さんと山田兄弟製紙株式会社代表取締役山田さんからお話をお伺いしました。

会場は枚方市駅すぐのアトリエMayさん。
山田兄弟製紙さんの製造された色とりどりの和紙や味わい深いヨシ紙、和紙アーティストの皆さんの作品が展示されクリエイティブな空間でした。

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鵜殿ヨシ原研究所所長 小山さんによると、淀川のヨシ原の衰退は度重なる洪水を防御するための治水事業が進み、河川敷が湿地性を失ってしまったことからはじまるそうです。
小山さんは大阪市立大学の理学部附属植物園で植物生態学の研究をされていたなか、昭和52年に高槻市の依頼を受けてヨシの生育調査をはじめられました。昭和50年代には鵜殿の特産品として「よしず」や「すだれ」が作られていたのですが、河川改修工事の影響で、植生は大きく変化し、冠水のない高水敷ではヨシはどんどん衰退していきました。小山さんは、現在の国土交通省淀川河川事務所から平成9年に「淀川河川委員会」委員の委嘱を受け、ヨシ原の保全の事業化に取り組むこととなりました。

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ヨシの保全のためにポンプで水をくみ上げる「水をヨシに近づける方法」や高水敷を掘り下げる「ヨシを水に近づける方法」などを実施し、鵜殿の上流部のヨシは回復し、減少に歯止めがかかってきました。しかし、「よしず」「すだれ」が中国からの輸入品に台頭され、かつての上質なヨシは多くはとれません。利用があってはじめて手入れが行き届き、伝統文化である雅楽の篳篥のリードに使えるヨシがとれるのです。刈り取られても利用されず燃やすしかないヨシを活用し、ヨシ原をその質の点でも維持できないか。そこに、鵜殿のヨシを利用したヨシ紙の開発、福井県の山田兄弟製紙さんへの期待がかかります。

もともと山田兄弟製紙の主力製品は高級和紙。「透かし」や「漉き合わせ」といった技術の伝承などを受け、長い間証書となる高級品を製造してきたのですが、株券の電子化により、会社は窮地に追い込まれます。ヨシ紙を手がけ始めたのはそのときです。しかしヨシ紙は、紙問屋が見向きもしないものでした。代表取締役の山田さんは、鵜殿のヨシを原料にした紙に付加価値をつけることを考え、「伝統技術から環境技術へ」と、会社の舵を大きく切られたのです。問屋がつけた値段ではなく、工夫をこらしてお客さんに買ってもらえるものにする。山田さんは、ヨシ紙づくりを通して、ものづくりについての考え方が変わったといいます。

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ただヨシ原を水辺環境保全のためにあればよいものとするのではなく、ヨシ原の営みに人の活動である伝統文化に欠かせないものとして質を高める・人と自然の共生の息吹を送り込む小山さんの活動に、循環の糸口をつむぎ始めたヨシ紙としての活用。環境報告書や大切なお客様へのノベルティとして活用するなど、鵜殿ヨシ原の保全活動と直結したこのヨシ紙に、環境保全にコミットする企業が注目しはじめているそうです。

研究会のあとは恒例の交流会。

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参加者一同楽しく充実した時間を過ごすことができました。

山田兄弟製紙株式会社のホームページ
http://yamada-keitei.com/

雅楽奏者 東儀秀樹さんがヨシ紙の普及のためにイラストを提供された一筆箋などを購入できます。ぜひヨシ紙の活用に皆さんもご協力ください!
http://yamada-keitei.com/shouhin/yodononeiro.html

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