2010年08月25日(水) Vol.29 熊谷剛(KNS関東支部世話人(ダイキン油機エンジニアリング株式会社))

私が関わってる業界の現状

一応、関東支部の世話人に名を連ねている(!?)熊谷です。
現在はダイキン油機エンジニアリングという会社に出向中です。
転勤で大阪から東京に来て、早や5年が経ちました。
KNSに関することは皆さんいろいろ書いて下さっているので、
私は自分の仕事柄で感じる事を少々書かせてもらいます。

私は「油圧機器」をメーカの立場で営業する仕事をしています。
油圧は身近な所だと、ブルドーザやパワーショベルのバケット(土などをすくう部分)を
動かすために使われたりしていますが、我社が営業対象にしているお客様は主に「工作機械」のメーカです。

工作機械とは金属を削ったり穴を開けたりして部品を作る機械で、
そのユーザは自動車業界や電子部品業界という事になります。
この工作機械は、産業界において日本が最も世界に誇れる分野の1つであり、
今までは日本で製造した機械が世界中で使われていました。
しかしながら景気の影響を非常に受けやすい業種でもあり、
リーマンショック以降の落ち込み方はひどいもんでした。
昨年度前半は生産台数が前年比90%減(!)とか、600台/月作っていたメーカのある月の生産台数がゼロ(!)とか。
よく会社が維持できるよな?、と感心するほど工場はヒマそうにしてました。

以上の状況を受けてやはりこの業界も価格の下落が激しくなり、
中国においては中国メーカの安い機械が幅を利かせ始め、
それに負けないためにと日本メーカもなりふり構わぬコスト削減に走り、
海外での生産比率を急速に上げて来ています。
今年に入って工作機械は需要が反転して急速に増え始めているのですが、
この需要増は中国企業の投資が主要因であり、象徴的なのが「フォックスコン」という会社だったりします。
フォックスコンはiPhoneやiPadのハードをAppleから下請けして生産する会社で、
労働条件が厳しくて自殺者が相次いだ...なんてニュースがネットを賑わせてましたが、
ここが日本の工作機械メーカから何百台の単位で機械を購入し、
そのおかげで売上がV字回復した会社が何社かある様です。
しかしその代わり単価はずいぶん値切られている様で、
そのしわ寄せは当然部品メーカである我社にも降りかかって来ています。

今や日本の工作機械メーカは、中国から仕事をもらって当面の売上を維持し、
そのお金で中国に工場を建てて生産を始め、中国人を雇って彼らに技術を渡しお金を儲けさせる構図になっています。
その間に日本での部品需要(我社の商売)や雇用は減少する一方で、また一つ日本の基幹産業が失われる、
まさにそんなタイミングなんだろうと思います。

日産も日本で販売するマーチの生産を海外でスタートさせ、この様な流れは止められない、
というニュースを聞きますが、これらの業界に関わる人が食べていくためには、
自分も海外に行って出稼ぎするか、もしくは日本に残って別の仕事を探すか、どちらかを選ぶしかないんでしょうか。
需要は当面中国等に依存するしか無いにしても、技術と雇用は日本に残すうまい方法はないもんかな。
それはムシが良すぎるんでしょうか...?

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