2021年06月16日(水) Vol.563 漁師明(四国支部世話人)

『相続登記の義務化&登記と戸籍情報との連動』の法改正実現

2021.4.21.私が、沢山の皆様のご支援を頂きながら、10年程前から法改正の提案と継続的な実現活動をしていた、『相続登記の義務化』&『市町村の住民台帳と登記情報の連動化』の法律改正が成立し、土地登記簿の信頼回復への第一歩となる事が期待される。
 『九州に匹敵する所有者不明土地が存する』と騒がれてから久しい。 『登記簿を見ても本当の所有者が判らない事により、土地の面的活用が大きく阻害され、高台移転等の復興計画を始め多くの官民の事業の推進を阻害していると言う大きな社会問題』を解決する手段として、様々な立場の専門家の方々から色々な対策が提案されたが、どれも、現行法制下内での小手先の提案ばかりで、根本的な問題解決とはならない物ばかりだった。
 そこで、開発事業のコーディネーターや土地家屋調査士として、日頃からその問題点を強く実感していた私は、東日本大震災直後から更にその必要性を強く感じ、《小手先でない、抜本的な対策となるような法律改正》を、自分で提案し、その実現を支援する活動を起こす事にした。

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早速、起案書を作成し、各種の関係団体や国会議員さん達にも提案したが、『土佐経済同友会』と『高知県宅地建物取引業協会』の2団体以外は、『法律を変える』なんて大それた活動を、本気では支援して頂けなかった。 そこで、この2団体を通じて、『相続登記の義務化』&『市町村の住民台帳と登記情報の連動化』を提言し、実現支援活動を継続的に行っていたら、10年近く掛かったが、やっと、2021.4.21.の国会で、それに関する法律改正が可決された。

 これで、煩雑で沢山の労力と時間と費用とを要する【相続人調査の必要な土地】が更に増えるのを防止出来、官民の事業の促進を計れると共に、津波被災(想定)区域からの高台移転の最大の阻害要因が減ってくる事への期待が持てる事になって、ホッとした。

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【参考資料】 事前減災対策を提案した【高知工科大学大学院の卒論】の該当部分

第6章:【民間企業の大震災前高台移転】に関わる『要因分析』
?-5-2.《 相続登記・遺産分割協議の未了等による実所有者不明問題 》という、阻害要因の分析

 前項の《 広大な用地の完全取得の困難さと長期化》を招いている最大の原因は、《不動産登記法が、所有権登記名義人の相続登記を義務化していない》事に因る、『相続人の一部不明や不存在』、或いは『遺産分割協議の不成立』によるリスクである。
 つまり、この、《 相続登記未了等の実所有者不明問題 》 は、全体事業の中では大きな事では無いように感じるかもしれないが、『直接的で、決定的な阻害要因』として、事業を中止に追い込む事となりかねないのである。

1.《 不動産登記簿は、何十年も前に死んでしまってる人の名前が、未だにそのまま載っていたりしていて、所有権登記名義人が、現実の所有者とは限らないと言う状態のままで、放置された状態である。 》
 国民の大切な財産である不動産を登録している、土地・建物の登記簿においては、所有権登記名義人が、相続登記をするかどうかは、所有者の勝手にまかされている》と言う、まことに信じられないような、無法状態のまま長年を経過してしまったので、財産的価値が高くないものにおいては特に、相続登記がされないまま放置されたままとなっている事が多くなってきている。
  『相続登記をするかどうかは、所有者の勝手にまかされている』 ので、かなりの確率で、相続登記がなされていないから、不動産(土地・建物)の現在の所有者は、登記簿を見ただけではわからない事が多い。なので、現在の本当の所有者を探すには、戸籍調査をして法定相続人を確定させ、その上で、その全員と交渉して遺産分割協議を経て相続登記をしてもらってからでないと、用地取得契約、及び所有権移転登記が出来ない。其の為、それだけで、膨大な時間と労力が掛かってしまう。そればかりか、法定相続人が外国に移住してしまっていたり、相続人不明なんてケースも有って、完結できない事も、それ程珍しい事ではない。実際、私が担当した開発事業においても、その両方のケースを経験している。
 今の登記制度による登記簿は、そのような実態なので、これが、東日本大震災における、震災復興高台移転事業のスムーズな進捗の最大の阻害要因となってしまったことは有名な話である。

2.所有者不明問題は、隣接土地で有っても、事業を止めてしまう阻害要因と成り得るので、注意が必要である
 その上、用地取得の目途がついて、いざ開発事業を実施しようとすると、土地の境界、特に官民境界確定書の提出を求められる。其の為には、公共施設用地の管理者(行政の担当課と地元管理者)の他、公共施設用地の隣接土地(対面土地を含む)の所有者(相続人・代理人・管理者・後見人を含む)と、境界の立会確認をして、それを測量して境界の用地確定図と、同意書とを作成して、隣接土地(対面土地を含む)の所有者(相続人や後見人を含む)全員の同意の捺印をもらってから、更に、行政から現場での施設管理を委託されている地元の管理者(土木委員等)の同意の捺印をもらって、やっと、行政の窓口に境界確定申請書を提出できる。
 その場合、特に問題となる事が多いのが、隣接土地(対面土地を含む)の所有権登記名義人が死亡している場合には、更に相続人の戸籍謄本等の法定相続証明書又は遺産分割協議書、或いは裁判所発行の相続放棄証明書をも添付しなくてはならないし、その全員の同意の押印が必要となる。そんなケースでは、単なる隣接又は対面の土地所有者とすれば、用地買収のお金が入ってくる訳でもなく単に境界を決めるだけの事なので、そこまで面倒な事にお付き合いするメリットを見出す事は困難なので、いわゆる「ハンつき料金」を請求される事も珍しくないし、協力を拒否される事が無い訳ではないので、限られた期間内に必ず完結させなければならない時は、まことに大変である。
 このように、相続登記が終わっていない地番が関係すると、用地取得や用地境界を決めるためには、とても長い調整期間が必要となり、公共事業を始めとする事業のスムーズな進捗の最大の障害となっているのが現状ですし、【立会してもらうべき相続人】が見つからなくて、事業が中断してしまう事も珍しくないのである。
 

第7章:【民間企業の大震災前高台移転達成】を《阻害している原因》を除去するための『対策の提案』   
?-3?2.《 相続登記・遺産分割協議の未了等による、実所有者不明問題 》 の対策提案 

★.【登記簿の所有権登記名義人の相続登記の義務化】、及びそれに合わせての、【死亡届と固定資産税納税義務者情報との連動化】の【法整備を推進】する為に、国(国会及び内閣)事へ請願する。これこそが、事業推進における最も大きな問題であり、この達成こそが、 ≪用地取得が絡む官民の全ての事業を効率的に進める為の根源≫である。
1.【登記簿の相続登記を義務化する】と言う《新たな法制度の整備促進》を提案

(1) 《義務化を提案した理由》と経過
 現在の本当の所有者を探すには、戸籍調査を始め、膨大な時間と労力が掛かってしまう。結果として、震災復興事業のスムーズな進捗の最大の阻害要因となってしまったという事例を引っ張ってくるまでもなく、日常的に、毎日、全国で、官民の事業を阻害して、膨大な時間と費用とをロスしている事は、明白であり、議論の余地もない程に、様々な業界において、改善を検討している。
これに関しては、現行法制度で問題が解決できないので有れば、時代に合わなくなっている法律を変えるしかない。つまり、《所有権相続登記義務の法制化》ですある。具体的には、不動産登記法に、「登記名義人が死亡した場合には、相続人は、**年以内に相続登記する事。其の期間内に遺産分割が整わない場合には、法定相続人全員の名前で、その旨を登記して公示する事。」 と、追加規定を入れるだけでいいのです。もちろん、関連して、沢山の法律問題が出て来るでしょうが、【できない理由を考えることなく、やる前提で必要な解決策に取り組めばそんなに困難な法律問題ではありません。】
  残念ながら、あまりにひどい状態だし、根本的な原因を解決しようとの動きも無かったので、それならば、「不動産を相続した人(遺産分割協議未了の場合には法定相続人全員)は、登記名義人の死亡届出を役場に提出してから1年以内に、【相続による所有権移転登記】を法務局に申請しなければならない」と言う、『【相続登記義務化の規定】を、不動産登記法の一部改正としてとする法律を作ってもらうしかない』と考えて、私が、提案分を起案して、土佐経済同友会や各種の士業団体に提案した訳である。
 
(2) 『所有権相続登記義務化』を、国会議員に働きかける事をにした
  それで、法律と言えば、国会で決めることなので、それを企画し、様々な団体の力を活用して、国会議員に働きかける事にした。 
  最初は、SNSを通じて、私が、個人的に付き合いのある数人の国会議員への直接アプロートと合わせて、土佐経済同友会防災委員会(当時の名称は、地域コミュニティ防災委員会)で、『平時である今からやっておくべき減災対策』との、私が考えたサブタイトルも採用してもらって、【震災事前対策】の提言書を作成(私は、副委員長として、4・6・8の提言文を担当)して、土佐経済同友会の事務局を通じて全国の経済同友会に公報すると共に、長島復興副大臣に高知にお越しいただいて、高知県知事達と、防災について議論してもらう中で、この提言書についても、担当副大臣と知事とに認知してもらえたことは、活動の良いスタートとなった。

(3) 《義務化への立法府での対応の状況》
『不動産の登記簿に、現所有者情報を反映させる為の【相続登記の義務化】は、高台移転事業のスムーズな進捗の必須要件ですが、『唯一法律を作る権限(立法権)の有る国会』では、昨年までは、議論さえも無かったのであるが、今年になって、急に、内閣府が作成している今後の法改正を要する項目の一つに、計上されてきた。こうなると、思っている以上に早期の成果が期待できる可能性が高まるのである。
表?8 内閣府が、『相続登記義務化』への制度見直しの準備を始めた事を公開 (省略)

(4) 相続登記の義務化の、法制化への提案活動の経過
  「不動産を相続した人(遺産分割協議未了の場合には法定相続人全員)は、登記名義人の死亡届出を役場に提出してから例えば1年以内に、【相続による所有権移転登記】を法務局に申請しなければならない」と言う、【相続登記義務化の規定】を、不動産登記法の一部改正として、国会で決める。
 この提案に関しては、法律的に実現できない問題が無い事を、事前に、知り合いの弁護士(当時、県の弁護士会会長)にも相談したところ「特に問題は有りません」とのお墨付きをもらった。
 それを受けて、この提案を、ここ数年の間に、【所有権移転登記を担当している高知県司法書士会】・【相続登記未了で業務が直接的に滞っている高知県土地家屋調査士会】・【登記を担当する役所である高知地方法務局】・【立法府である国会をうごかし、実際に法律を改正できる立場の、高知県選出の国会議員数名】に、書面やSNSを通じて直接提案したが、昨年までは、どこからも全く、私への音沙汰はなかった。
  ところが、同時期にこの提案を、高知県宅地建物取引業協会(私も、『宅地建物取引士』の1人として、個人事務所で取引業者登録をしておりその協会員)の 【 高知宅建政治連盟 】 提案していたところ、初めて、反応が有った。
 何と、昨年、その提案が、【 高知宅建政治連盟 】から、正式に 【 全国宅建政治連盟 】 の議題としてあがり、 【 宅地建物等対策議員連盟】 の 《 所属国会議員(百数十人の所属議員がいるとの事)》 を通じて、『 所有者不明問題への対策が、緊急性の高い議題 』 として、取り上げられたとの報告が、『 高知県宅地建物取引業協会南支部総会 』 の席で、高知宅建政治連盟の役員さんから、報告が有った。(余談だが、私には、その役員さんから直接、「漁師さんの提案書がとても良くできていて、それを上程したところ、山が動き始めた。」と、思いもよらない言葉を、直接頂いてびっくりしたが、そんな事より、『関係業界?国で、やっと取り上げられた事』が、とにかく嬉しくて興奮した。 このように動きが出できている事が、国(内閣府)が発信している情報でも確認できたことは特筆すべきで第一歩である。) 兎に角、やっと、『相続登記強制化の立法化の目途が付きそうになって来た』と言う、待ちに待った朗報で、先ずは、一安心できた。後は、『内容のフォローを続けて行かなくてはならない』と、気持ちを引き締めているところである。
 それに連動しているのかどうかは確認できていないが、まことに嬉しい事に、現実に、登記に関わる国家資格者団体である、司法書士会や土地家屋調査士会(私も『土地家屋調査士』の1人として所属会員)の研修会等でも、『所有者不明問題の解決策の一つとして、【相続登記の強制化】と言う言葉が、聞こえて来るようになってきた』のである。

2.【死亡届・固定資産税納税義務者情報との連動】と言う法制度の整備
 しかし、義務化規定のみでは、「相続登記が義務化されたことを知らない人」や、「不動産の相続人となっている事自体を知らない人」には、効果が及ばない。
その為に、それと合わせて、『市町村への死亡届手続き』との連動、つまり、『死亡届手続きに来た人には必ず、【固定資産税納税義務者(相続人が決まっていない場合には法定相続人全員の名簿)の変更届の提出】と、【相続登記義務化の規定】とを、「連動させて運用する事」について、市町村の協力を確実に得るには、『死亡届と相続登記手続きの連動の法制化』が必須である。

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