2020年10月21日(水) Vol.531 門田祐子((株)ルーフ )

わたしを振り回すオトコたち

■わるいオトコにハマってしまったのだと思う
 無理難題をふっかけられ、理不尽にゴネられる。その直後に甘いセリフを耳元でささやかれ、路上で人目をはばからず抱擁。ああやっぱりこの人のことが世界一好きだと思ったその数分後に、なんでオレの思うようにならないのだと感情のままに大声を出される。こちらの都合は関係なく、すべての物事は彼のペースで進んでいく。そんなモラハラ男とは早く別れたほうがいいのかもしれないが、もう彼なしでは生きていけなくなっている。
 とまあ、これが2歳半とゼロ歳男児の母である私の日常だ。育児って甘え上手で人たらしのわるいオトコ(またはオンナ)にずぶずぶにハマって抜けられなくなるようなものなんじゃないかと最近思っている。実際上記のように毎日振り回されてばかりだし、逆にベタ惚れしてずぶずぶにハマってなきゃ、みんな育児放棄して逃げ出してしまうだろう。

門田祐子

■感情の乱高下がとまらない
 長男が生まれてからずっと子どもに振り回される日々だが、長男が赤ちゃんから様々な感情を合わせ持つややこしいコドモへと成長するにつれ、より一層振り幅が大きく激しくなっているように思う。
無気力感にさいなまれたり、メロメロになったり、途方にくれたり、キュンキュンしたり、恥ずかしい思いをしたり、うれしい気持ちになったり、イライラしたりととにかく忙しい。負の感情はふたりのかわいい言動でチャラになることも多いが、感情の乱高下が激しく1日が終わるころにはぐったりだ。

例えば…

<そこに人権はあるのか!理不尽な扱いの数々>
◎ある日の深夜、急に「お着替え自分でするぅぅぅぅぅぅ」と言って長男が寝ぼけながら暴れだした。夢の中で着替えを母が手伝ったのが気に食わなかったようだが、夢を現実世界に持ち込まれたってどうしようもない。
◎せっかく作った料理を「いらない、ごちそうさまする」と拒否したくせに、その残飯を処理しようとすると「たべたかったァァァァァ」と驚きの理由で大号泣。いろいろと理不尽過ぎてもうお手上げ。

<イタリア人かっ!日本人離れしたテクにメロメロ>
◎うるんだ目でじっと見つめながら「かか(母)のことが好きになっちゃったの…」とド直球の告白。あまりの愛おしさに気が狂いそうになる。
◎いきなり母の後頭部に手をかけグッと引き寄せてほっぺにキス。こんなの彼氏にだって夫にだってされたことない。これが2歳児でなく成人男子なら確実にオトされている。

<腹立たしい言動に、本気でイラッ>
◎トラブル続きで母の気持ちに余裕がなかった日、配膳時に慌てて箸を落とした母に「おはしで遊ばないの」と長男。(普段の母の口調にそっくり)カチンときて思わず「お箸で遊んでいて落ちたんじゃないんです。遊んでなかったけど落ちてしまったの!!」。2歳児相手に本気で言い返す38歳。
◎息子が派手にこぼした牛乳をふいていると、何度も「なにしてんのー?なにしてんのー??」と楽しそうに何度も聞いてくる。「アンタがこぼした牛乳拭いてんねん!!」と怒りをぶつけたくなるのを必死で堪える。

<お願い、だまって!!!>
◎普段見慣れない変わったものを「変な」と表現しがち。「ショッピングモールの駐車場でお兄さんが大型バイクを停めていたのを見て「変なバイクだねえ!」と長男。「そうやなあ、かっこいいバイクやなあ」とふだんの3倍ぐらいの声量であえてお兄さんに聞こえるように返事。
◎マンションでご近所さんとすれ違ったときに大声で「変なおじさんいたねぇ!!」。本気で焦った・・・。

■ハマるとおもしろい育児沼、溺れる危険あり
今は、腹を立てたりかわいさにメロメロになったりしながら、おもしろおかしく育児を楽しんでいる。かわいい人たらしの2人のオトコ(2歳半と6か月)にハマっているのだとしたら、胸ぐらいまで浸かりながらもがきつつ楽しんでいる感じだろうか。ただこの育児という沼、気を抜くと頭まで浸かってしまう危険をはらんでいる。
いまのところ私は、今回のようにコラムに書いたり人と話したりすることで、育児中の理不尽な出来事の数々を笑い話にして成仏させることができている。しかしそういう環境がなかったり、気持ちに余裕がなくなり負の感情をうまく消化できなかったりすると、たちまちバランスをくずして溺れてしまうだろう。そんなとき私自身何度も助けられたのが、道端で声をかけてくれるおじさん、おばさんたちだ。泣くことしかできない赤ちゃんや会話が十分にできない未就学児を育てていると、人とほとんど会話をせずに1日を終えることもある。それはまるで社会から取り残されたような孤独感だ。「大変そうね」「がんばれ?」「がんばってえらいね(子どもに)」と一声かけられるだけで、ちょっとあたたかな目を向けられるだけで、この世界に味方がいるのだと勇気が出る。社会と自分に接点ができたような気がして孤独感から解放されることもある。

ただでさえ孤独になりがちな育児、コロナ禍の今ますます閉じこもり育児沼に溺れそうになっている人がいるのではと勝手に心配している。もしちいさな子どもを連れている人がいたら、ちょっとだけ声をかけたり、笑顔を向けたりしてほしい。たったそれだけのことで救われる人がいるかもしれないから。

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