2020年09月23日(水) Vol.527 村井正太(豊中市役所)

ウェブアクセシビリティとSDGs

こんにちは。
豊中市役所に勤めている村井正太と申します。よろしくお願いします。
自治体に勤務していると、この時期は国勢調査モードに。
今年は100年の節目ですが、新型コロナウイルスの影響で従来とは違うことがたくさん。
調査が終わるまで、気の抜けない日々が続きます。
今は自治体職員ですが、公務員になったのは30歳の時でした。
大学卒業後は民間企業2社を経験し、平成20年に豊中市役所へ入庁しました。
入庁後は、商工業振興を5年、広報を4年担当し、今は労働・計量・施設管理などの業務をしています。

村井正太

広報に所属していたときには、市の広報誌の作成、プレスリリースやSNS、ケーブルテレビのほか、市の公式ホームページの管理運営も担当していました、ホームページの業務を引き継ぐ時に、前任から大切にするよう言われたのが、「ウェブアクセシビリティ」。ウェブアクセシビリティは、高齢者や障害者を含めて、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できることを意味します。目の見えない人やマウスを操作できない人でもホームページから情報を得られるようにするため、例えば音声読み上げでも意味が通じるようにする、情報を伝えている画像や写真には代替テキストを付ける、キーボードだけで操作できるようにする、テキストが埋め込まれていないPDFファイルだけでの情報発信は避けるなどを積み重ねます。
私が担当することになった時期は、日本工業規格JIS X 8341-3:2016が公示、障害者差別解消法が施行され、総務省による「みんなの公共サイト運用ガイドライン」が公開されたタイミングでした。

さて、自治体の情報発信の話題では、ときどき情報弱者ということばが出てきます。特に、ITを活用した情報発信を強化すると、高齢者を取り残してしまうのでは、という場面で使われることが多いように感じます。ただ、広報誌を作成する際に一番気になっていたのは、目の見えない人、四肢が不自由でページをめくるのが困難な人など。このような人に、どのように情報を使ってもらえる環境を整えるのかがポイントと考えていました。ウェブアクセシビリティは、紙をベースとした情報発信では情報を得られない人に対して大きな役割を果たします。自治体広報では、主権者である市民に対して政策課題を提示するのが一番大切ですが、社会的に弱い立場にある人に対して利用できる支援情報・福祉制度の情報を伝えることも重要。ウェブアクセシビリティは、その実現に大きな役割を果たします。

ウェブアクセシビリティを実現するためには、ホームページの管理ソフトで実現できることもあれば、コンテンツを作成する職員一人ひとりが気を付ける必要があるものもあります。画像に代替テキストが設定されていないことはシステムでチェックできますが、その画像に代替テキストが必要かどうかは基本的に人の判断になります。また、表を使う際でも、行と列を入れ替えるだけで、音声読み上げ時の伝わりやすさが変わってきます。また、専用ソフトを使ったちぇくだけでなく、実際に障害者や高齢者に市のホームページで調べ物をしてもらい、問題点を洗い出すことも実施しました。ウェブアクセシビリティでは、一人ひとりのちょっとした気づきや意識で、結果が大きく変わってきます。

広報から異動したことにより、ウェブアクセシビリティの担当でもなくなりました。しかし、ウェブアクセシビリティの重要性はより高まっていると感じています。ウェブアクセシビリティは、以前は障害者対応ということで語られることが多かったのですが、近年は外国人向けや機械向けで語られることも増えてきました。機械による翻訳機能が優秀になるとともに、インバウンドを含めた外国人に対する情報発信の際に、ウェブアクセシビリティが考慮された日本語のページは、外国人にとっても分かりやすいと言われています。また、機械検索やAIスピーカーなどで情報検索をする際にも、ウェブアクセシビリティが考慮されていると、機械にも情報が伝わりやすいともいわれています。
将来は、読み上げソフトなどで該当のページで伝えたかったことを推測して読み上げてくれたり、代替テキストのない画像やテキストが埋め込まれていないPDFファイルでも画像認識から文字変換して情報を伝えてくれることによって、ウェブアクセシビリティが情報発信側に求められることがなくなる時代が来るかもしれません。
しかし、現状ではウェブアクセシビリティは、機械を含む誰もが情報を支障なく利用できるために重要となっています。

最近は、SDGsが社会に浸透してきました。17のターゲットが設定されており、基本理念として「誰一人取り残さない社会の実現」が目指されています。個別の取り組みで17のターゲットのうちのどれに該当するかよりも、普段取り組みで基本理念に合致した行動が取れているかが本来は重要だと思います。
ウェブアクセシビリティは、情報面における誰一人取り残さないための取り組みであり、情報発信において誰一人取り残さない社会の実現を意識できているかが端的に現れてくるでしょう。
総務省による「みんなの公共サイト運用ガイドライン」によれば、自治体はアクセシビリティ方針と毎年実施する試験結果をホームページで公開することが求められています。国から求められている方針や試験結果の公開状況は、自治体がSDGsに本気で向き合っているか推し量る指標にもなりそうです。

自治体はウェブアクセシビリティに取り組むことが義務付けられていますが、自治体だけではなく民間の企業や団体でも取り組みを求められています。誰もがホームページ等で提供される情報を利用できる社会が実現されるためにも、ウェブアクセシビリティを意識する人が増えることを期待しています。

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