2020年06月10日(水) Vol.512 中川裕之(中川鉄工株式会社)

次の100年への道しるべ

みなさま お世話になります。まことに申し訳ございませんが、ここ数年、KNSの皆様方にはご無沙汰になってしまいました、元KNS世話人、そしてKNSものづくり・ひとづくり研究会の主査、中川鉄工 中川ひろしでございます。過去にも2014年、2016年にコラムを書かせていただきました。今回は令和という新たな時代を迎え、新しい心積もりで経営を行っていく心構えを述べさせていただこうと思います。
当社では、未来に向け、金属加工技術者のイメージアップを目指しています。伝統工芸などに比べて、金属加工の評価は低いと言えます。しかし、この仕事は社会インフラを支える素晴らしい仕事だと自負しており、イメージを上げていきたいのです。かつてはブルーワーカーの仕事でしたが、今はホワイトワーカーの仕事と言え、頭を使った仕事です(ロボットに代替されるのではなく、使う仕事)。特に、先端のテクノロジーを活用できるセンスが求められ、CAD、CAMなどコンピューターを駆使し、頭で考え、スマートに働くことが今後の製造業のイメージと言えます。

中川裕之

まずは自己紹介を少しさせていただきます。大阪市は城東区で旋盤加工という技術で大正6年の創業以来、丸い金属を削るという技術について研鑽を重ねてまいりました。創業から102年、私で4代の事業継承になります。最近は精密にうすく金属を削るという事に特化して、主に電力プラント、石油プラント、化学プラント向けのステンレス、難削材の精密旋盤加工という事業ドメインで、営業活動いたしております。
さて、思い起こせばあっという間に人生半世紀を生きてきました。今まで考えることがなかった、次世代への継承を考える時期になりました。そんな中で、最近すごく感じることがございます。この先10年、20年、50年、、、そして100年後の創業200年の弊社の状況。そしてこの国日本の状況です。過去には世界的に見て、日本という国、そしてそこに暮らす日本人が非常に評価されていました。大分変わってきたとは言え、現時点でもまだまだ高く評価されていると思います。しかしながら、私が感じる最近の若者像がぐらぐらして来ており、行く末に疑問を感じることが多々でてまいりました。悲しいかな私共のものづくり業界は、まだまだ世の中には正直認知されていないということを感じる機会が多々ございました。学生のインターンシップを度々受け入れてきましたが、全くと言って良いほど理解されていない感覚を実感いたしました。技術者として今後もこの国のものづくりの底辺を支えることを考えた際に、若手社員の人間教育に力を入れようと決意いたしました。ものづくりはひとづくりと言われます。ひとづくりが次世代への糧につながると思っております。人間学いう学問がございます。人が本来備えている徳性を養っていくための学問が「人間学」で、この徳性は学んで養っていかなければ、発揮されません。つまり、「人間学」とは、徳性を養うための学問を意味します。その人間学を学ぶ雑誌致知という本がございます。私自身、20代後半にこの雑誌と出会い、それ以後ずーっと購読してきました。ものすごく難しい本なのですが、人として生きていくうえでの本質が書かれている本だと思います。その後平成29年の2月、雑誌の出版社の方に背中を押されて、毎月一回行う勉強会をキックオフいたしました。現在成功された方々の記事が多々掲載されています。成功者はどの時代においてもやはり頑張っておられるんです。人生の目標、この人のようになりたいなあという目標像を作ってあげたいんです。若手社員が5年先、10年先、そしてその先の具体的に描ける自分の目標像を持ち合わせていないのをすごく感じました。そらあ、モチベーション上らんはずです。私共が小さいうちは、各家庭に昔の偉人さんの伝記本がよく置かれていました。事実私も読んだというか、読み聞かせてくれたように思います。いま本を読む若者がすごく減っています。この致知という雑誌を社員全員に毎月支給し、課題として読んでもらって感想を言い合います。そこで色んな考え方があるんだなあと認識いたします。世の中には、自分と違う考え方を持った方々と、共存し、共栄していかねばなりません。自社においても同じです。こんな考え方もあるんだなあ?ってその人を尊重してますと、人間関係が円滑に行きだしてきたのではと思います。私も年とったせいか、若いころから持ち合わせていた利己の心が、利他的なモノの考え方に、少しずつではございますが変わって行っているのかも知れません。
最近コロナ禍の影響が言われています。人生にはこれでもか?これでもか?ってな感じで、まさかと思える事象が襲ってきます。そんな時こそ、私は良好な人間関係の構築をと思います。リーマンショックの折には、我々ものづくり業界のほとんどの会社が大打撃を受けました。ご多聞に洩れず、弊社も大打撃を受けました。丁度その時に代表を変わったのですが、おかげさまで会社も継続できております。長い人生色んな事が起こってきます。長い歴史の年表の中では、このコロナ禍も数十年、数百年経てば、ごくごく小さい出来事になるでしょう。
丁度この時期に会社の代表としての挨拶文を新しく再考いたしました。中川鉄工のコーポレートサイトでアップさせていただいておりますが、初めての方々に自己紹介もかねて、ご紹介させていただきます。

当社の今
当社では、まごころを込めた職人の手によるものづくりで、高品質かつ付加価値の高い商品を提供し、大阪から「ものづくり立国 NIPPON」を支えたいと思っています。大阪はかつて「天下の台所」と言われるほどの経済圏で、日本全国からいろんなものが集まってきておりました。しかし、今ではものづくり企業を含め、いろんな業界の企業がどんどん首都圏に進出し、同業者も減ってしまいました。
一方で、かつて大阪のものづくりを支えた職人の技術はまだ、当社の様な企業には十分に残っています。そこで当社ではこの技術を継承しながら、大阪に活気を取り戻す手助けがしたいのです。そのためには、職人の能力を引き継ぐ、技術者をちゃんと育てていかなければなりません。
とはいえ最近は、人間同士の関係が希薄で、心が折れやすい若者が増えています。挫折から立ち直る経験は人を成長させるもの。高品質の商品を提供するスキルを身につけてもらうためにも、そうした経験ができる環境を整えてあげたいと思っています。
「あいさつ」や「脱いだ靴を揃える」といった、当社が創業から守り続けてきた日本の古き良き伝統も伝えていきたい。“ものづくりはひとづくり“。それも、心を磨くことにつながるはずです。

当社の未来

実際に、当社では多様な人材が活躍いただける様、社内環境の整備も進めてきました。若者がこの会社で働きたきくなるような、“まちこうばらしくない“職場環境を創ってきました。
高精度な製品を作っていく過程で、技術力を向上していくためには、人としての成長も無くてはなりません。例えば、不具合が出た際には最初から戻って、対応しなければならず、お客さまに提供する製品においては「これでいい」はなく、きちっとした製品を提供し続けなければなりません。だからこそ、心が磨かれ、人間的に成長できると思っています。創業100年を機に、次の100年への応援歌的位置づけで制作しました社歌、中川鉄工スピリッツ?次の100年への道しるべ?の歌詞に「先輩たちの背中が語る確かな技術を受け継いで、新しさと若さで未来をつくろう」というフレーズがありますが、そのようにして大阪の活性化に貢献し、未来のものづくり企業のカタチを体現していきたいと思います
 
長らくお付き合いくださいまして、有難うございました。
今後共よろしくお願い申し上げます。
早期のうちにこのコロナ禍が終息し、みなさまに幸せが訪れることを願ってやみません。

メンバーズコラム一覧

このページの先頭へ

Copyright (C) 2020 Kansai Network System. All Rights Reserved.
〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35 関西大学商学部 西村研究室内

会員規則 これまでの歩み