2019年05月15日(水) Vol.460 門田(小坂)祐子(株式会社ルーフ)

名前変えます! - なまえ、しごと、わたしのアイデンティティ -

「もしもし、ルーフのコ、カ、カドタですっ」
 約1年半の産休・育休を経て、このゴールデンウィーク明けから職場に復帰しました。朝はちゃんと起きられるだろうか、社会人としてきちんとやっていけるだろうか。1年半も家庭にこもっていたので不安はつきませんでしたが、一番戸惑ったのは「カドタ」と名乗り、呼ばれることでした。
 みなさま、お久しぶりです。小坂祐子、改め門田祐子です。育休から復帰するタイミングでこれまで仕事で使用していた旧姓をやめ、結婚後の姓である「門田」を名乗ることにしました。新婚?いいえ結婚7年目。漂ういまさら感。職場の人からは「なんで?」と思われながら。

門田祐子

 きっかけはKNS定例会でのプレゼンでした。今の自分にしかできないプレゼンをしてみようと、生後9か月の息子を抱っこしながらマーケティング目線を取り入れて子育てのリアルを紹介しました。その前日、プレゼンシートを作成していて手が止まりました。「名前、どうしよう」。息子の名前は門田凜太朗。その母親として話をするのに「小坂祐子」と名乗るのはどうもおかしい。しかし「門田祐子」としてプレゼンをしようにも、手持ちの名刺はすべて「小坂祐子」。それに今までKNSでもずっと小坂姓を名乗ってきたのです。門田?小坂?私のアイデンティティって一体なに?もやもやしたモノを残しながら、プレゼンシートへの記載はとりあえず「門田(小坂)祐子」としたのでした。

 ふつう、女性は結婚すれば姓が変わります。それに合わせて職場でも呼び名を変えればいいわけですが、私はそれをしませんでした。理由はひとことでいうと「面倒だったから」。当時入社3年目、30歳だった私はなるべく仕事にプライベートを持ち込みたくないと考えていました。しっかりと線引きをして仕事の関係者には自分のプライベートな面に触れられないようにしていました。姓を変えるということは、社内はもちろん取引先の関係者にまで「私結婚しました!」と広く報告することと同じです。ビジネス上の付き合いしかない人達に私のプライベート(しかもかなり個人的な部分)を晒して、彼らの好奇心を刺激するなんて絶対にイヤでした。それに今までのキャリアは、「小坂」として私自身が努力して積み上げてきたのだという自負もありました。プライベートは門田、仕事は小坂。そこは交えることなく切り分けてメリハリつけてやればいいじゃないかと思ったのです。
 しかし仕事をつづけながら経験を積んだり、いろいろな人と出会いその仕事に触れるなかで、仕事観は少しずつ変わってきました。いい仕事には人生や生き方がまるごと反映されていること気づき始めたのです。いくら仕事が正確で早くても、人としての深みがない人はその仕事もどこか深みが感じられないし、人としての魅力が強い人の仕事は深く人の心に響くものです。それは広告を仕事にする自分の場合も同じでした。大卒で就職してからずっとスキルを磨きステップアップしたいと頑張ってきたつもりでしたが、技術的な面を磨くだけではあるていどのレベルまでは到達できても、人の心に響くほどのいい仕事はできませんでした。今までの人生の中で学んだことや結婚してからの暮らしで感じた事、子としての私、女性としての私、妻としての私を総動員してやっと何とか仕事といえる仕事ができるようになりました。結局、仕事の自分とプライベートの自分を分けることなんてできなかったのです。
 さらに息子を産んでからは、はっきりと「仕事とプライベートは切り分けられないのだ」と感じるようになりました。息子にまつわるありとあらゆる事が私の脳みその大半を占領するようになり、仕事に限らず「母親である私」を無視して何かをするなんて、とてもじゃないけどできなかったのです。30歳そこそこまでは仕事でもなんでも自分の実力で成し遂げてきたように思っていましたが、とんでもない。私を育ててくれた両親がいて、一緒に子ども時代・青春時代を過ごした友人たちがいて、社会の波に共に飲み込まれそうになった同僚たちがいて、オトナの楽しさを教えてくれたKNSのみなさんがいて、そして私を誰より理解してくれる夫がいて、世界で一番大事な息子がいて。そういう人達の存在が私のアイデンティティを形成しているのです。この事に気づくのがちょっと、というかだいぶ遅かったように思います。結婚時にはもうKNSに参加してみなさんからいろいろな刺激を受けるようになっていたし、KNSのみなさんは人としての魅力が仕事にもにじみ出ているような方々ばかりだというのに!

そんなわけでこのたびすべての場所で「門田祐子」を名乗ることに決めました。ちなみに「ユウコ」は私の生まれ年の名前ランキングNo.1。常にクラスに2~3人は「ユウコ」がいたせいもあって、子ども時代から今に至るまでほとんど「コサカ」という姓で呼ばれてきました。そのため「カドタ」と呼ばれることにまだ慣れませんし、KNSの皆さんにも「カドタ?誰?」とわずかながら混乱を招きそうではありますが…。次回お会いするときにはカドタバージョンの名刺をお渡しできると思いますので、小坂改め門田祐子を何卒、よろしくお願い申し上げます。

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