2018年11月21日(水) Vol.437 漁師明( (株)リョウマまちづくり研究所)

『企業版事前復興』 南海大震災前に、企業を高台に移転させよう

 【高知工科大学大学院の起業家コース】をこの秋卒業した、 (株)リョウマまちづくり研究所の代表取締役で、まちづくりコンサルタントの漁師です。表題の研究テーマをネタに、コラムが欠けると思って、「コラム書きます」と言ったのですが、いざ書こうとしましたら、その『ほとんどは、市街地の大半が浸水する高知市独自の問題で、関西の皆様にはピンとこない』と言う事に、気が付き、真っ青になってしまいました。239頁の修士論文の中から、精一杯、共通項をピックアップしたつもりですが、関係のない方は、スルーして下さいませ。では、以下、私からの、『企業版事前復興のすすめ』の提案です。 (勝手ながら、文体は、「論文調」のままとさせて頂きました。) 

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  尚、【事前復興】とは、『平時のうちに、災害が発生した際のことを想定し、被害最小化につながる都市計画やまちづくりの推進を、事前に準備して推進することで、その目的は、災害後の大混乱の中でも、可能な限り迅速かつ円滑な復旧・復興を図るために、事前に出来る事はやっておこう』と言う事です。
 【東日本大震災】では、津波に襲われた企業は、『壊滅的な被害』を被った。【南海大震災】は、近い将来、確実に発生する。 『企業の大震災前高台移転は、企業生き残りの必須条件だとはわかっているにも拘らず、【企業の高台移転】は、あまり進んでいない。 其の為、≪南海大震災により壊滅的な被害が生じる事が明確な、津波浸水想定区域内に存する民間企業を、大震災前に、高台移転させる≫と言う目的に向かって、【原因を突き止め、今後実践すべき主要な対策】をまとめた。
  しかしながら、 【目的達成の為に、今後実践すべき事前復興対策】のほとんどは、すぐに対処できるものばかりではなく、その提案を実現させる為には、《企業立地を可とする地区計画条例の制定》が必須条件である為に、≪都市計画マスタープランでの位置づけ≫とか、≪地区計画規定による規制内容の緩和≫を始め、窓口となる都市計画部局を始めとする関係各課と、議会の、《前向きな熱意ある協力が不可欠》だ、と言う事があり、≪民間の努力だけでは達成できない≫ と言うもどかしさが、【今後の展開における大きな問題点】である。

≪明らかとなった高台移転阻害原因≫  (略)
≪『高台移転の促進』という目的達成の為に 【今後実践すべき主要な対策】≫
 1.【行政】に関わる、【今後実践すべき主要な対策】
  (1)≪事前復興≫の推進を、『官民協働の目標』として推進する事の重要性を公報し、
    【民間企業の大震災前高台移転促進】を≪本業として担当する部署≫を新設
  (2)【事前復興事業】として、『震災前高台移転への予算配分』を国に、『事前復興産業団地
     の《都市計画マスタープラン》への位置付け』を地方議会に、共に働きかける。
  (3)『公設団地は新規企業誘致のために整備している』事を公表し、移転企業には
     『移転先となる民設団地の開発を促進させること』を促すよう、行政に働きかける。
  (4)移転先開発を実質的に排除している地区計画上乗せ規制の『具体的な規制緩和提案』
    ?『都市計画マスタープランでの位置づけ』を特定地区指定から域内指定に変更
    ?【既設・幹線道路・沿線・限定の立地用地規制】を、【計画道路を含むに緩和する】
    ? 『3事業者以上の一体移転規制』の手法を、【開発申請事業者規制】から、
            【開発完了後の【用地分譲先規制】と【建築確認取得規制】へ変更する。
 2.【企業】に関わる、【今後実践すべき主要な対策】
  (1).【移転先高台の切迫需要】の情報を集約し、それを満たす為に、早期に実現可能な、
     具体的な、【高台の産業団地開発計画】の事業化を推進する事で、
     【すぐ移れる高台の移転先】を、緊急供給する。
 (2).【民設高台移転先産業団地開発】と【中小企業の集団化による高度化事業】との併用で、
    ≪都計法34条6号による開発許可要件≫を満たし、地区計画規制の適用外となる事で、
     民設産業団地開発の自由度を高めて、高台移転を促進する。
 (3).【高台移転を検討している企業相互の交流の場】を設けて、
     ≪移転希望企業同士のマッチングを促進≫させる事で、集団的高台移転を促進する。
 (4).高台移転計画に合わせての【移転元地の有効活用】の提案により、移転を促進する。
 (5).移転先となる民設団地整備事業や移転企業に対する、公的支援制度を創設できるよう、
    行政(国・県・市)に新設を要望する『企業の事前復興支援担当部門』に働きかけ
 3.【地域】に関わる、【今後実践すべき主要な対策】
 (1).事業着手に当たっては、『最初に相続人調査もして実所有者を把握』しておくと共に、
    売りたい人からの先行取得ではなく、区域内全員の用地取得の目途を優先させ、
   『実質的な用地買収期間を短縮させる』事が、≪事業推進のコツ≫である。
 (2). 【土地境界(所有者界・地番界)を正確に反映した地図整備推進策】として、
    【国土調査や不動産登記法14条地図整備】を促進するよう、国に働きかける。
  (3).【登記簿の所有権登記名義人の相続登記の義務化】、及びそれに合わせての、【死亡届
    と固定資産税納税義務者情報との連動化】の【法整備を推進】する為に、国(国会及び内
    閣)事へ請願する。これこそが、事業推進における最も大きな問題であり、この達成こそ
    が、 ≪用地取得が絡む官民の全ての事業を効率的に進める為の根源≫である。
  (4).隣接地の土地所有者・居住者や、地域の世話役(町内会長・農業委員・土木委員・
    土地改良区)さん達等の、関係人さん達とは、事前に計画概要等への理解を得たり、
   地元要望を聞き取りしておくために、『早めに意見交換』をしておく事が、
   ≪地元調整に失敗しないコツ≫である。

≪今後の展開(今後の研究課題,展望) ≫
1.≪明示した対策≫と≪今後の研究課題≫との関係
  前章の、≪ 【今後実践すべき抜本的な対策】 ≫については、あくまでも、『今後取るべき対策の明示』に留まっており、明示した対策の、 今後の実践に関しては、≪全ての提案が、今後の研究課題≫となる。中でも、冒頭に記載した、【≪事前復興≫の推進】については、『他の全ての提案の支援に繋がる』、≪最も重要な施策≫である。  
2.≪全国における【事前復興】に関わる情報≫
 その重要性は、阪神淡路大震災直後、つまり、20年以上も前から注目されて来ているし、その後、国が指針を策定し、それに追従した高知県を含む全国各地の都道府県において、【≪事前復興≫を前提とした、都市計画の指針】が策定されているのである。しかし、その指針に基づいて、具体的に≪事前復興≫を目指した実務活動を開始済なのは、 ≪県主導で全県下で熱心に活動を推進している和歌山県≫を筆頭として、東京都や徳島県の一部などの、ごく限られたところである。 
3.≪《減災対策》としての【事前復興】を根拠として、活動を拡散する ≫
  (1).【企業の高台移転担当部署】の設置(国?県?市)(経済産業省・国土交通省関連)
  (2).【高台移転先民設団地】の『都計マスタープランでの位置づけ』(国土交通省関連)
  (3).【大震災前高台移転】への『公的助成制度の創設』(経済産業省関連)
  (4).【相続登記の義務化】と【国土調査の促進】(法務省・国土交通省関連)
 これらの対策の為には、現行では概ね、国土交通省が単独で【事前復興事業の支援】を行っているのだが、経済産業省にも参画してもらって、【企業の震災前高台移転促進事業】を、事前復興の減災対策】と位置付けてもらう活動が、先ずは必要なのだが、究極対策としては、【防災復興省】を、国土交通省の傘下ではなく、内閣府の直轄として創設する事が望まれる。

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