2018年10月17日(水) Vol.432 太田裕之(内閣府地方創生推進事務局)

「まちづくり」に必要な人材についての個人的見解

KNSのみなさまこんにちは。
内閣府地方創生推進事務局の太田裕之です。

今回初めてコラム投稿の機会を頂戴しましたので、まずは自己紹介をさせていただきます。その後、自身の経験から感じている「まちづくり」に必要な人材について、個人的見解を述べさせていただきたいと思います。

 職歴は、平成21年度から国土交通省で働き始め、河川、道路、港湾を経て、都市分野に携わらせていただくとともに、本省、地方整備局、地方事務所のほか、県庁や市役所へも出向させていただいております。

太田裕之

 現在の所属では、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局にも併任がかかっており、主に「小さな拠点」の形成推進を担当しております。具体的には、人口減少や高齢化が著しい中山間地域等において、将来にわたって地域住民が暮らし続けることができるよう、生活サービス機能の集約・確保、交通ネットワーク構築、地域住民が主体となった地域課題解決への取り組みなどへの支援策を検討しています。

さて、ここからは、現在の所属とは関係なく、あくまで個人的な見解ではございますが、いわゆる「まちづくり」において必要と考える人材について述べさせていただきたいと思います。

 まず、「まちづくり」において最も重要な要素は、その地域で活躍する「ヒト」であり、中でも、その地域で生まれ育ち、地域内で濃密なネットワークを有している人は、極めて重要であると感じています。ただ、地元をほとんど出たことがない人にとっては、自分の地域を相対的・客観的にみる機会が少ないため、日常的・当たり前(と感じている)自分の地域の“魅力”には、なかなか気づけないことが多いのではないかと思います。

 一方、自分の地域を一度離れ、別の地域で暮らした経験のある人にとっては、自分の地域について、その別の地域との比較で相対的にみることができるため、自分の地域にいた時には気づけなかった“魅力”を発見・再認識することが出来るようになると考えます。さらに、その地域に全く所縁がない人(いわゆる「ヨソモノ」)にとっては、その地域特有の既成概念などと関係なく、新たな視点でその地域を客観的にみることができるため、その地域の“魅力”も発見しやすいのではないかと考えます。
 つまり、その地域内で暮らし続けている人、その地域を一度離れて戻ってきた人、よその地域からきた人、の3者がうまく関わりあうことが「まちづくり」を進めていく上で重要であると感じております。

 さて、ここで、「漏れバケツ理論」についてご紹介します。穴の空いたバケツに水を貯めようとする場合、いくら蛇口をひねっても出てくる水の量には限界があり、そもそもその空いた穴を塞ぐことが先決であることは誰にでもわかる話だと思います。しかしながら、この当たり前と考えられる対策とは逆の対策(穴を塞がずに蛇口をひねる)が採られていることが往々にしてあります。
この理論は地域経済やエネルギーなどの分野でよく用いられておりますが、人材にあてはめて考えてみますと、人材が外に出て行ってしまうのに、その外に出て行ってしまう原因をふまえた対策をせず(穴を塞ぐことをせず)に、なんとか地域外から新たな人材を呼び寄せようとしている(蛇口をひねっている)ということになります。

 ただ、個人的に、この理論には、さらなる時間の経過を与えていくことも必要ではないかと考えております。
ある程度は穴を塞ぐことができたとした場合、その後、一定の時間が経過すると、バケツの中の水には「よどみ」が出来てきます。それが徐々に底に沈殿して溜まっていくと、今度は、水がどんどんと濁っていってしまいます。この溜まってしまった「よどみ」を溶かして、澄んだ水とするためには、滞留水に流れを与えることと、外力によって攪拌することなどが有効であると考えられます。

 これを再度、人材にあてはめて考えますと、水に流れを与えることが、一度地元を離れて帰ってきた人(Uターン者)に、外力による撹拌が、よその地域からやってきた人(IJターン者)に、それぞれ該当すると考えられ、「まちづくり」において重要な役割を担うものと考えられます(図はこの内容を表現しようとしています)。
 
以上をまとめると、穴を塞ぐこと(地域住民のためになる施策)を最優先しつつも、水に流れを与えるためのバイパス(一度外に出てから戻ってきやすい環境)や撹拌棒を差し込む余地(地域外人材の受け入れ体制)を整備していくことが「まちづくり」にとって重要なのではないかと考えております。

最後に、これら出自や経験の違いもさることながら、それ以上に男性と女性の視点の違いも「まちづくり」にとっては重要と感じています。一般的に、男性は現象を抽象的、理論的に捉え、行動に移す前に、理屈で色々と考えることが多いように思います。一方の女性は、現象を具体的、実践的に捉え、あれこれ考える前に、まずは行動に移すことが多いように思います。どちらが優れているというものではなく、両者がうまく関わり合うことが重要であると考えます。

 兎にも角にも、「まちづくり」においては、多様な視点をもつ多様なプレイヤーが関わり合うことが重要であり、まさにこのKNSのような様々な背景を持った方々が集まるコミュニティを形成していくことこそが、「まちづくり」の本質であるように感じています。

改めて、このKNSへの参加機会をいただけましたことに感謝の意を表し、コラムを締めさせて頂きたいと思います。

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