2018年09月05日(水) Vol.426 岡本信秀(株式会社ウエルネス阪神)

台北市の公共交通に関する雑感

 台北市に2年半在住している岡本信秀です。台北市内の公共交通に関する最新のネタを題材に、あまり肩の凝らない話をしたいと思いますので、どうぞよろしくお付き合いください。なお、種々の名称は日本人にとって一般的と思われるものを用いており、正確なものではないことをご承知おきください。

 台北の市内における移動を担う公共交通は主に、地下鉄・バス・レンタサイクル(youbike)の3つであり、レンタサイクルはその規模が非常に大きく珍しいかもしれませんが、全体としてまぁよくあるモノであると言えるでしょう。これらは市の交通局が管理・監督を行っており、実運営についてバスは複数の、レンタサイクルは一社の民間企業に委託されています。いずれも共通電子プリペイドカードである悠遊カード(easy card)での利用が可能であり、カードは地下鉄の駅やコンビニで購入し、チャージして用います。なお、このカードでは他に在来線や桃園空港線も乗車でき、またコンビニ等の買い物で利用することも可能です(ただしレンタサイクルは登録が必要です)。

岡本信秀

 公共交通という観点では台北ではレンタサイクルが大変特徴的ではありますが、ここでは近年より進化が進むバスについて見ていきたいと思います。

 台北市と台北市を取り囲む新北市には、恐らく数百の路線バスがあると思われます。私が来てからの2年間でもバスサービスの進展は目覚ましく、全ての車両の前後両ドアへのICカードリーダーの設置、主要バス停でのカラー液晶による行き先・到着・待ち時間案内、車内大型モニターでの到着・乗り換え案内が順次整備されています。

 台北のバスは車内で全ての停留所について英語を含む音声での案内があるなど、外国人にとっても非常に利用しやすいと思われますが、その最大の理由は明確な路線番号にあると思います。

台湾では高速バスを含む全てのバス路線に路線番号が割り振られており、概ね以下のルールであると思われます(例外もあります)。
1桁の数字:市内主要路線
2桁の数字:市内を中心に走る路線
3桁の数字:市内と近郊を結ぶ路線
4桁の数字:都市間高速バス

私の知る限り、4桁バスは台湾全体で重複することはなく、3桁以下は各都市で独自に定めているようで、例えば台北市と台中市のいずれもに1路線が存在します。
そしてこの路線番号が分かれば、手持ちのスマホアプリで、その路線のバスがいまどこを走っていて、いつ自分が乗る停留所に来るかを検索することができます。なお、主要なバス停では電光掲示板に路線ごとにバスがあと何分で来るかが表示されます。
日本的にはたとえ地域で路線番号のルールが統一されていたとしても、運行会社が異なる場合はそれぞれの会社ごとにアプリが必要なところです。台北の便利なところは、バス会社を横断して一つのアプリで全てのバスを検索できることでしょう。市交通局の強力な統制が伺えます。
 
一方で、この路線番号については、生活者はともかく旅行者の目線では悪くなったと感じられることもありました。幹線系統の導入です。2017年から台北市内の主要な幹線道路を走るバスの一部で、従来の路線番号から幹線系統へ呼称の切り替えが行われました。例えば74路線は復興幹線となりました。幹線系統の導入により、幹線バスから他のバスに乗継ぐ際に運賃の割引が適用されるようになったのですが、一方で日本人はともかく漢字が読めない欧米人などには検索も難しくなり、恐らく分かりにくくなってしまったのではないかと思われます。まぁ旅行者がバスを利用することはあまりないという割り切りからこのようにしたのかなとも思いますが、積極的に観光客を増やそうとしている台湾でのこの変化は少し意外に感じられました。しかしきっと何らかの対策を講じてくれるだろうと期待しています。

 最後に、台湾の交通全体に視点を戻し、いくつかのトピックスを挙げたいと思います。
今年3月、旅行者には必要性が薄いながら、地下鉄・バス・レンタサイクルの種別横断定期券が販売されました。意外かもしれませんが、これまで台北の公共交通において定期券というものはなかったのです。この定期券は30日間1,280元(約4,800円)で地下鉄とバス(新北市の路線も含む)が全路線乗り放題、台北市でのレンタサイクルが最初30分まで無料(新北市での利用は無料)というもので、毎日利用する通勤者などには破格と言え、支持を増やしています。
 次は電動バイクに関する話題です。台湾はバイク(スクーター)での通勤が多く、渋滞や事故、大気汚染を減らすため、政府はこれまでに紹介したような積極的な公共交通機関の整備を継続しています。そしてバイクについては2030年を目処に電動車両へ全面移行するという目標を打ち出しました。既に電動スクーターのgogoro(ゴゴロ)社が街なかのスタンドで減ったバッテリーを無料交換できるサービスを開始しており、また車両本体価格も補助金を受けることで大きく低減されるようになったことから、電動スクーターの普及が少しずつではありますが進んできています。

 2年半の台湾生活の中で、これまでに書いたような交通だけでなく、様々な面で速さと先進性において日本より優れている、あるいは日本でも有効と感じる部分がありました。良いところを見習っていきたいものです。

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