2018年07月18日(水) Vol.420 福美江津子(川西市)

クロスロードゲーム

KNSメンバーの皆さんこんにちは。
川西市役所の福美です。コラムは2回目になります。
先月の大阪北部を震源とする地震、また西日本豪雨で被災された皆様にお見舞い申し上げます。川西市でも豪雨においては31カ所の避難所開設や運営を行っており、私の所属する教育委員会では、その各地区避難所の運営を総括することになっていたため、現在少々バテ気味です。まとまりのない文面になるかもしれませんがよろしくお願いします。

突然ですが、皆さんは「クロスロード」ってご存知ですか? 

福美江津子

これは阪神淡路大震災を事例に、さまざまな研究者たちが被災者や自治体職員等に聞き取り調査をしたデータから、短い設問を作り、その設問に対して参加者が自治体職員や消防士など「自分以外の誰か」になりきり「YES」か「NO」どちらかで回答する防災ゲームのことです。
災害時のジレンマである「正解のない問いを考える」というこの「クロスロード」は、自治体における防災教材として、また、防災以外の分野における研修教材としても広がりをみせています。
ゲームの方法は、グループ内で答えが分かれるように奇数(5人又は7人)で1グループを作り、一人ひとりには「YES」のカードと「NO」のカードが1枚ずつ配られます。そして司会の人が設問を読み上げたら、約1分で、その設問に対して自分の答えが「YES」なのか「NO」なのかを決定します。ただしその時点ではグループ内の人には自分の答えが分からないようカードは伏せておきます。そして、司会者の「せ?の」の合図とともにグループ内で一斉にカードを開きます。結果、5人中3人がYESで2人がNOと出た場合、自分がYESなら多数派、NOなら少数派になります。また、5人中4人がYESで自分1人がNOの場合等もあります。しかし、「クロスロード」には正解がないため、1人だけ違う結果になっても「NO」とした意見は尊重されます。
代表的な質問としては「あなたは避難所の運営リーダーです。避難者が50人。非常食は30食。あなたは非常食を配布する?」といった感じです。「クロスロード」で重要なことは「想像すること」です。何故YES(NO)にしたのか、この状況をどんな風に想像して、何にポイントをおいたのか等、自分では思い至らない視点や考え方を他のメンバーから得られるのが、「クロスロード」の醍醐味です。
この問題で言えば、お年寄りだけに配る、1人前の食糧を細かく分ける、避難者たちに委ねる等々‥正解はありません。また、さらに想像すると、食糧が固い食べ物でお年寄りに不向きかもしれないし、避難者の中には食料を持参している人もいるかもしれない…。こういったことを想定、想像して自分なりの結果に結び付けていきます。
私がこの「クロスロード」と出会ったのは約5年前。知人に誘われるまま参加した勉強会でした。設問を聞いても全く想像ができず、回答を迫られても「YES、NO」の決定ができない、慌てて回答(YES/NO)をしても、その理由も明確ではありませんでした。
しかし、何度か体験し他のメンバーの視点や考え方等を聞いていくうちに、自分自身もいろんな想像ができ、回答に至る考え方の幅も広がっていきました。
研修等においては、参加者は「正解」を求めがちですが、災害時においては、いつも正解があるとは限らないし、過去の事例が正解でない場合もあります。単一の正解を求めるのではなく、それぞれの場面で誠実に考え、様々な意見や価値観を参加者同士が共有し尊重することで、よりよい選択や多くの方向性が見いだしていけるのだと思いました。
災害は起きない方がいいし、起きてほしくはありません。しかし、近年の異常気象等々を考えると、大きな「備え」に繋がる「クロスロード」をもっと多くの人が体験しておくべきではないかと、近況から改めて感じたところです。
まだ、クロスロードを体験していない方、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

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