2017年10月25日(水) Vol.384 永山光悦(岩手県)

いわての10手でおもてなし

前任地で最初に「オール岩手でインバウンド大作戦 いわての10手」のチラシを目にしたときの感想は、「なんだ?この変なおっさん(裸でちょんまげ頭)の絵は?」というものだった。
今年の春の人事異動で、盛岡に転勤になり、その事業の担当になるとは、まったく予想もしてなかった。
今回は、その変なおっさんが登場する「いわての10手」を紹介させていただきたいと思う。
今や、日本の観光地で、外国人観光客を見かけないところは、ほとんどないと思われるほどになった。
岩手県でも、東日本大震災のあった年は大きく落ち込んだものの、その後は順調に回復し、震災前よりも多くの外国人観光客が訪れるようになった。
しかし、その数は、日本を訪れているといわれる数(2016年2,403万9千人)の0.006%(同年163,230人)という状況である。

永山光悦

岩手県は、海外には知名度も無く、大都市のように交通機関が発達しているわけでも、有名なテーマパークがあるわけでもない。
 日本人の人口は減り続けている中、観光事業者が生き残っていくためには、外国人観光客をどうやって誘客していくか。地方の重要な課題である。
 自然や温泉、グルメなどといった魅力を発信するのも大事だが、訪れていただいた外国人がまた来たくなるような観光地づくり、帰国した後、友人たちに「岩手は良かったよ。」と口コミで伝えてもらえるような態勢整備が必要と考えている。
 その実践方法として考えられたのが平成28年4月から展開している「いわての10手」である。
 内容は、希望郷いわて文化大使を引き受けてもらっているスターブランド株式会社の村尾隆介氏に全面的な協力を得て作成された。
 以下、10手の簡単な内容である。
(詳しくは、ホームページhttp://www5.pref.iwate.jp/~hp1010/ でご覧ください。)
1の手 文字よりも絵で示そう(ここで変なおっさんが登場します。)
2の手 「ようこそ」を表現しよう(共通の歓迎ステッカーでようこそ感を演出。)
3の手 自分から話しかけよう(旅先で困っている人に声をかける。)
4の手 写真はタテ・ヨコ両方で(スマホ等の写真を、アップしやすいように)
5の手 写真に一緒に収まろう(画像を「あとで送るね!」から関係が始まる。)
6の手 基本は「そこまで一緒に」(場所を聞かれたら、そこまでいっしょに・・・。)
7の手 一所懸命さを伝えよう(身振り手振りで気持ちを伝えよう。)
8の手 何かに書いてあげよう(言葉で説明だけより、メモで伝えよう。)
9の手 荷物を手伝ってあげよう(荷物で苦労していたら手伝ってあげよう。)
10の手 世界にお礼を伝えよう(被災時に受けたサポートの感謝を張り出そう。)
 反響は、ユニークなイラストが話題となり、様々なメディアに取り上げられ、イギリスのBBCでも取り上げていただいた。
 なのに・・・肝心の岩手県内には、あまり普及していない。
 盛岡市内のタクシー会社でステッカーや、一部の温泉旅館で、イラストを活用しているくらいで、私が担当してからは、大きな進展はない。
 我々のPR努力が足りないのが一番の要因と思われるが、ほかにも原因があるのではと感じている。
 岩手県を訪れている観光客の多くは、花巻温泉や安比高原といった大きなリゾートホテルへの宿泊客であり、盛岡市内を周遊している方は、それほど多くないのが実態である。
 団体客が多く、あらかじめコースに設定された観光施設を周遊する場合がほとんどで、場合によっては、岩手県には、宿泊だけで観光は県外に行ってしまう場合もある。
 地域の商店街の経営者から見れば、外国人観光客が大幅に増えたという実感がまだ無いのかも知れない。
 実際、外国人観光客の爆買いを期待して免税店の許可を受けた店舗も増えているものの、売上増につながっているところは少ないようである。
 ネガティブなことを多く書いてしまったが、チャンスと思うことがないわけでもない。
 2019年には、日本でラグビーワールドカップが開催される。岩手県釜石市も、その開催会場となっている。中国では、ウィンタースポーツ人口を3億人に増やそうとする計画が発表され、雪国岩手からも、民間会社がセールスに動き始めている。
 また、今年の9月からいわて花巻空港を利用する台湾からの国際チャーター便にLCCが参入してきた。
 これまでは、前述のようにチャーター便で来県する観光客は、団体客がほとんどだったが、LCCを利用する観光客は個人客が多いようである。概ね5割くらいが個人客という状況となっている。
 LCCの国際チャーター便が到着した日は、空港のレンタカーカウンターの前に外国人観光客の列ができている。盛岡までの直行路線バスを利用するお客様も多い。これまでのチャーター便では見られなかった風景である。
 その個人観光客が、どういった場所に出かけているのかなど、アンケート調査中であるが、いよいよ「いわての10手」の展開拡大が近いのかも知れない。(いずれ我々の努力次第と思うが・・・)
 「いわての10手」は、外国人観光客のおもてなし運動として考えられたものだが、中身は、国籍問わず、すべての観光客から喜んでもらえるものと思っている。
 岩手の観光振興を担当するものとして、国内外でのプロモーション等で岩手のPRをしていくことも大事だが、地元の事業者と一緒に、「岩手に行ってよかった。」思ってもらえる地域づくりに携わっていきたいと思う。
 最後まで、読んでいただきありがとうございます。
 また、KNSでお会いできたらうれしく思います。

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